『ロンドン・コーリング』ザ・クラッシュ(1979)
ロック、レゲエ、R&B、ロカビリー、ジャズなどを取り入れて、
それらを見事なクラッシュのサウンドに仕上げた傑作であり、
パンク生誕後のロック史を語る時に欠かせない名盤。
パンク・ロックという音楽スタイルにとどまらず、バンドのスピリットがいっぱいつまってるので、ぜひ聴いてみてください!
CDでは1枚に収められましたが、当時は2枚のLPを1枚の
レコード・ジャケットに入れて発売されました。
これはファンのために価格を下げる方法として
クラッシュ側が提案したものでした。
90年の「ローリング・ストーン」誌の
”80年代のベストアルバム”で第1位に輝きましたが、
それを知ったジョーはこう言ったそうです。
「あれは79年の発表だぜ!」
そんなザ・クラッシュ&ジョー・ストラマーの魅力について、
雑誌「ニュー・ルーディーズ・クラブ」に載ってたエピソード(黒字)と
ストラマー語録(赤字)を織り交ぜながら、伝えたいと思います。
まず俺の1番好きなエピソード。
写真家のハービー山口氏が、ロンドンの地下鉄で面識の無い
ジョー・ストラマーと偶然、出会った時のものです。
1979年のある日、地下鉄に乗ってると、
向こうの座席にジョー・ストラマーがいた。
僕はおそるおそる「写真を撮ってもいいか?」と聞いた。
彼はにっこり笑って「いいよ」といい、
僕は彼のすきっ歯の笑顔にホッとして、
揺れる車中で夢中になってシャッターを押した。
次の駅で、ジョー・ストラマーが降りようとし、
僕は「サンクス」と挨拶した。すると彼は、
「撮りたい時はいつでも撮れよ。それがパンクだぜ!」
と言い残し去っていった。その言葉を聞いた瞬間、
パンクとは何かという僕の疑問が解き明かされた。
やりたいことは、今やるんだ!
そのエネルギーを持つ。
やりたいことに正直になる、
それがパンクなんだと。
電車を降りた僕は、嬉しさのあまり、
駅の階段を駆け上って、ロンドンの街へ出ていった。
この時撮った写真は、それからプリントされることなく、
20年の時を超えて、初めてプリントされ、掲載されました。
なぜ今まで、その写真を確かめようとしなかったのか、という問いに
「誰かに請われて撮ったのではない、撮ったことで満足だった」
とハービー氏は、言葉少なに語ったそうです。
この写真は、ジョー・ストラマーという男の本質をとらえてて、
ハービー氏に信頼の眼を向けている、とても優しい表情でした。
もうひとつ、エピソードを。
「あいつらと一緒にいる時が一番嬉しい。
あいつらは俺たちを必要としている。
俺たちのロックンロールが毎日暮らしていくために必要なんだ」
ステージ終了後のドレッシング・ルームにつめかけるファンの中の
少年のひとりが、ジョーにサインをもらいながら語りかけた。
「クラッシュにしてはチケットが高すぎるよ、ジョー」
ジョーはこう答えたという。
「これが精一杯なんだ。ツアーをやる時は臨時のスタッフも
必要だし、交通費やホール代も高くなった。
信用してくれ、これがギリギリの線なんだよ」
「でもジョー、すぐに用意できる金額じゃないよ」
チケット代は、約1300円である。
帰りのバスの中で、まったく無言のジョーを見ると、
ジョーは涙を流していた、という。
「子供たちのためにコンサート会場をつくりたい。
そうしたら1ポンド(約540円)でコンサートができる」
去年、ローリング・ストーンズとU2は、ツアーの収益が
数百億円だったそうです。ビジネスという視点で見ると、
そういう意味では、クラッシュは二流以下のバンドでした。
レコードは安くする、コンサートチケットは安くする、
ベネフィット・コンサートにはノーギャラで出たがる、
大ホールではやらない、TVでプレイしたがらない、
さらに驚くべきことに、バンドは大きな利潤をあげてはならない、
という鉄則を守ってました。
当時、彼らとマネージメント契約をした会社の社長によれば、
「契約の際に、ジョーに念を押されたよ。絶対に大儲けしようと
思うな。われわれのファンから搾取してはいけない、
利益は活動が維持できる最小限のものに留めろってね。経営は当然苦しいよ。でも、そういうクラッシュが好きさ、個人的にもね」
当時のジョー・ストラマーのことを
ジョン・ライドンは「いいやつだけど、シリアスすぎるんじゃないか?」
ポール・ウェラーは「やつのロマンチストぶりはなおらないぜ!」
と評してます。
なるほど。
クラッシュは、スタジアム・バンドになることを一切、拒否しました。
「青臭さの抜けきらない男」とするならそれでもいいでしょう。
ただジョー・ストラマーという人物は、常人以上に強靭な精神力と
意思を持った男だったとだけ言っとく必要があります。
そういうクラッシュとジョー・ストラマーが俺も大好きです。
「やつらにとってはいやな毎日の連続なんだ。
だから言うんだよ。がんばれよ、くじけるなよってね」
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