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『二十歳の原点』高野悦子

ブログであんまりパーソナル(内面的)な部分は書くことがないだろうなと思ってましたが、文学の話題が出たので、ついでにといいますか少し書いてみようと思います。

『二十歳の原点』高野悦子

二十歳の原点 (新潮文庫)

俺が今まで生きてきた中で、一番共感したと思える本です。
共感というとありきたりな言い方になってしまうのですが、
この人は「自分の魂の一部」なんだろうなと感じました。

この作品は、一女子大生である彼女が、二十歳の誕生日からの約6ヶ月間を大学ノートに書き綴った日記であり、壮絶な青春を駆けぬけた闘争の歴史であり、魂の記録でもあります。

俺がこの本を読んだのは、もう17年くらい前のことでしょうか。
久しぶりに読んでみたんだけど、当時と同じように涙が溢れて止まりませんでした。

この本と高野さんの詩を読んでいると、同じように体制(権力)と闘ったジム・モリソンや孤高の天才詩人ニック・ドレイクを思い浮かべます。

日記が書かれたのが、1969年なので、もし彼女がジム・モリソンやニック・ドレイクのことを知ってれば、多分好きになってたんじゃないかなと思います。
もっと後に生まれてたなら、ジョー・ストラマーや、ジョニー・ロットン、ポール・ウェラーなどのパンクに夢中になってたかも。俺がそうであるように。


この日記は完成された静謐な一遍の詩で終わってます。

旅に出よう
テントとシュラフの入ったザックをしょい
ポケットには一箱の煙草と笛をもち
旅に出よう

出発の日は雨がよい
霧のようにやわらかい
春の雨がよい
萌え出でた若芽が
しっとりとぬれながら

そして富士の山にあるという
原始林の中にゆこう
ゆっくりとあせることなく
      ・
      ・
      ・

この詩を読むとドアーズの「ジ・エンド」が思い浮かび、高野さんはジム・モリソンに匹敵するような詩の才能があったんじゃないかと思います。

「その季節」を乗り切ってれば、平凡な主婦にもなれただろうし、
詩の才能を活かした仕事をしていたかもしれません。
ただこの本と出会って俺は救われたので、
俺にとっての『原点』だといえます。

また17年後、子供が20歳になる頃に読んでみようと思います。

 
『タイム・ハズ・トールド・ミー』ニック・ドレイク

 時がぼくに教えてくれた
 きみはめったにいない存在
 悩める心の
 厄介な治療法

 時がこうも教えてくれた
 もうこれ以上求めてはいけないと
 ぼくらの大海原も
 いつかそのうち岸辺に辿り着ける

 だからぼくは自分がほんとうになりたくないものへと
 自分自身を追い込むような生き方をやめることにしよう
 自分がほんとうは愛したくないものを
 愛さざるをえなくなるような生き方をやめることにしよう

 

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コメント

ずっと読まなければと思いながら、もうすっかり忘れていました『二十歳の原点』。絶対に読みます。

ボクも『motorcycle emptiness』が、エンドレスで脳内リピートのときがありました。
いま後ろでカミさんが、なんか懐かしい曲が聴こえると言ってます。
(元春のときと同じく・笑)

でもね、ボクはまだリッチーが世界のどこかで生きているような気がするのです。本当に。

投稿: コハゲ | 2010年3月 5日 (金) 00時00分

コハゲさん、
高野さんとは、おかれている時代や状況がまったく違いますが、人間にとっての普遍的なテーマみたいなものが書かれてると思います。
高野さんのほぼ倍の年齢になろうとしてるけど、今だに「自分自身」を確立出来てません(笑)。
俺もリッチーはどこかで生きててほしいというのはあります。
何回か、らしき人物の目撃情報はありましたよね。
おじいさんになってから、『俺は昔、マニックスのメンバーだった!』っていう自伝的な本が出ればいいなあと密かに思ってます(^^)。

投稿: william | 2010年3月 5日 (金) 23時14分

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